ジャッカルの日

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【特集】横綱を怒らせないモンゴル皇帝50選

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 2月売りの「コロコロコミック」に掲載されていた漫画『やりすぎ!!! イタズラくん』の内容が不適切であったとして、モンゴル大使館が発売元の小学館に抗議文を送るという一幕があった。きっかけは元横綱である朝青龍のツイートから。小学館はこれに対し謝罪したようだ。

 

 正直なところ「多少いじられたくらいで過剰反応し過ぎでは?」とは思う。けれども「じゃあ尊敬する人物の顔にチンチンを描かれても黙っていろというのか!」と言われたら反論しにくい。10何年前だかにあった「王シュレット問題」を持ち出すまでもなく、排泄器官を顔に近づけるのは悪意のあるなしに関わらず侮辱ととられても仕方ないかもしれない。

 

 ただ、『やりすぎ!!! イタズラくん』は、決して「チンギスハン=チンチン」で終わらせていたわけじゃないんだよ!

 改めて今号のストーリーを説明しよう。『やりすぎ!!! イタズラくん』はその名の通り、イタズラ大好きな“イタズラくん”とクラスメイトたちが繰り広げる“やり過ぎ”なイタズラ騒動を巡るコメディである。別冊コロコロから本誌コロコロへの出張となった今作は、イタズラくんのクラスが社会科のテストを受ける場面から始まる。イタズラくんはもちろんアホなのでテストは大の苦手なのだが、今回は秘策があった。「歴史偉人イタズラ描きノート」を作り、連想記憶術で単語やらなんやらを覚えてしまおうという訳だ。
 テスト当日、「モンゴルの皇帝 チ( )・( )ン」という問題が出る。この出題の仕方もチンチン誘いにしか見えないが、イタズラくんは「チャー・ハン」「チャーシュー・メン」「チリメン・ジャコ」「チワワ・ケン」「チバ・ケン」と悩んだ挙句(チリメンジャコは答えになってないぞ)、とりあえず「チン・チン」を提出する。
 うん。とりあえずの解答としては良い。「チ( )・( )ン」という穴埋めでチンチンが出てこない方がおかしい。あからさますぎてNGワード感はあるが、サワリ解答としては十分ではないか。
 で、このチンチンの次のページの解答として、「チエミ・ブルゾン」が出てくる。「モンゴルの人口何人いると思ってんの? 35億!」「そんなにはおら~~ん!」。程よい時事ネタと35億の回収っぷり。完璧な解答では? そんな感じでチンギスのみならず、ナポレオンだの足利義満だのをいじり倒したのだが当然ながらテストは0点でした、トホホ…という締めです。

 

 さて、なんで今回炎上が起きたのか。やはり「チン・チン」に配慮が欠けていた面があったかもしれない(チンギスの額部分にチンチンを描いて前髪がちょうとチン毛に見えるようになっていたり、チンチンに「本体」と書き加えてたりといったていねいな仕事ぶりも光る)。チンギスいじり自体は、ゴルジが「チエミ・ブルゾン」に対しては怒りを表明してないことからも問題ではないと思われる。小学館が謝罪してしまった以上、今回の話をそのまま単行本に載せるのは少々圧があるかと思われるので、不肖このおれが「モンゴルの皇帝 チ( )・( )ン」の解答として、朝青龍の機嫌を損ねないような例を50個ほど考えてみた。参考にしていただければ幸いである。


01.チャック・ウィルソン
02.チューチュー・トレイン
03.チキン・ラーメン
04.チーズ・オニオン
05.チャージマン・研!
06.チーター・マンⅡ
07.チャッカ・マン
08.地霊・ティターン
09.チュー・ヤン
10.チクタク・バンバン
11.チリ・コン・カン
12.チープ・シチズン
13.チャンピオンカレー発祥の地・石川県
14.チンペー・さん(谷村新司)
15.チューバッカ・大好きおじさん
16.チェリーコーク・大好きおじさん
17.チョップリフター・大好きおじさん
18.チュートリアルの途中で・「R3スティックで周囲を見渡せ」とか言ってくるおじさん
19.チップとデールの・大冒険
20.チャン・コーハン
21.チョイ・ボンゲと・キム・カッファン
22.チェダー・マン(イギリスのチェダー渓谷で発見された石器時代の人骨)
23.ちゃん・リン・シャン、ソフト・イン・ワン
24.チェーン・リアクション
25.チャットモンチー・トリビュートアルバム参加アーティストオーディション
26.チェブラーシカ・タウン
27.チャイニーズ・マフィアの首領ドン
28.チャラ男の・遺品
29.チルド・マン(ロックマン10のボスキャラ)
30.千葉麗子のインテグラル・ヨーガ―ココロとカラダのビューティレッスン
31.長州・事変
32.チャールス・トン
33.秩父・羊山公園
34.乳首・ビンビン
35.チンチン・オブ・ザ・チンチン
36.チンチン・ビッグバン
37.チンポに結んだ・思い出のリボン
38.チンチン大好き!・テレビ特捜部
39.チンチンとケツの穴が小さい腐れアンポンタン
40.チェチェンの武装勢力に対して・「たとえ便所に隠れていても息の根を止めてやる」とコメントしたプーチン
41.チェルノブ・戦う人間発電所
42.力・うどん
43.賃貸・マンション
44.知の・巨人
45.チベット・スナギツネの砂岡さん
46.チョップ・マン(原作『遊戯王』に出てきた凶悪犯。城之内が焼死させた)
47.チェス・デーモン(『遊戯王』OCGの、カード名にチェスの駒の名称を含む一連のモンスターのこと。スタンバイフェイズ時にライフコストを払う強制効果を持っている)
48.チンチンと器が本当に小さいイキり豚
49.チビ太の・おでん
50.ちびまる子・ちゃん

 

 以上です。

 

 

 おれ個人としては「あなた(モンゴルの成人)が尊敬している人物を、他人(日本の男子小学生)が尊重しなければならない理由は何?」という疑問が湧くのでゴルジはじめモンゴル人の方々の主張はまるでピンと来なかったし、品格の無さをさんざん指摘されてきた元横綱が「品格のない日本人!!」と大騒ぎしている自虐ギャグが普通に面白かった。ついでに言うと「私はあなたの尊敬する人物を茶化さないから、あなたも私の尊敬する人物を茶化すな!」という世界よりは「私はあなたの尊敬する人であろうとバリバリに茶化すから、あなたも好きにやっていいよ」という世界のほうが健全なんじゃないの?

 世の中には「茶化さない方が無難な領域」があることも確かだ。エロコンテンツほどではないにしろ、ギャグはゾーニングに気を配らざるを得ない。強烈なギャグ(エロ)はある種の人々を喜ばせると同時に、属性の違う人を傷つける可能性を秘めている。『ドキュメンタル3』をアッコにおまかせとかと同じ日曜昼枠で放映したら、春日のカレー辺りで抗議電話回線がパンクする。

 じゃあ今回の件、コロコロコミック編集部はゾーニングを見誤っていたのか? そうとも言い切れない気はするが、そもそも「チンギス=ハンはモンゴル国を代表する英雄」という認識、あまり日本では広がっていなかったのではないか。世界史・日本史問わず歴史に疎いおれなんかは「オルドと羊肉が大好きな蛮族おじさん」くらいの知識しかないし…他国視点から見たら厄介な侵略者だし…GOD悪人軍団だからヒットラーやドラキュラと同じ枠だし…小学生男子なら「名前と顔が面白いオッサン」くらいの印象しかないだろうし…南国アイスホッケー部でも「チンチンコスコスはーん!」みたいな扱いだったし…(面倒なので調べてないが、そんなセリフは多分無かった。無かったと思うが、あってもおかしくない)。

  何にしろ、今回の件でまた一段階「ネタにできる境界線」がくっきりしたわけなので、それは今後に取り入れていけばいいだけの話でしょう。コロコロには今後もチンチンとウンチの境界線をギリギリまで攻めていってもらいたい。「やりすぎのイタズラ」に対して「やりすぎのイタズラじゃないか!!」と激怒する人は、個人的には放っておけばよいと思います。