5月16日(日)は第三十二回文学フリマ東京に行ってきましたよ。
今回はいろいろあって新刊が出来上がったのがギリギリだったので(そもそも、開催されるかどうかが判明したのが1週間前だった)会場に荷物を送る余裕がなく、自分の家から電車を乗り継いでいくことになったのだが、本の詰まった段ボール箱ってでけ~し重め~ので、蒲田の黒湯温泉スパに前日に宿泊してから行くことにしました。せっかく蒲田に来たのに居酒屋ほぼ営業してないか酒類提供禁止してるかなので(自警団みたいなオッサンらが「この店は酒出したりしてないか~? ンン~?」とかいう感じで歩き回っていた)メシは適当に済ませ、ドンキホーテで買い込んだ酒を部屋で飲んでサウナと黒湯水風呂を行き来してた。
おかげで翌朝はビックリするほどの二日酔い、じっとしているだけで汗は噴き出るし朝食のかけ蕎麦も気分悪くて食べられないほどだったが(発熱は無かった)、スポドリ飲んで段ボールの詰まったトランクを引っ張り倒しているうちに治ったのでよかった。
毎回カオスな絵ヅラになる
会場はそこそこの人入りではあったものの、やはりコロナ禍前と比べるとずいぶん控えめな印象。さまざまなハードルを乗り越えて開催にこぎつけてくれた運営には頭が下がるものの、「カタログが簡素過ぎる」「立ち読みコーナーが無い」等の理由もあって、「新しい才能に出会える場」という文学フリマの良さがだいぶ薄れてしまっている気がする。今回は事前の宣伝もしにくかったしな~。
とは言え開催してくれるだけで文学フリマはありがたい存在ですよ。〆切が無いとなんも完成しね~もん。バーカ! 滅びろ感染症!!
今回の新刊は「競馬」特集号で、おれは「クセの強すぎる競馬漫画13選」という記事を書きました。ここで取り上げた作品について簡単に紹介します。
01.あかね雲の詩 (つのだじろう)
ここがクセ強:恐怖漫画の大家・つのだじろうが少女漫画誌に描いた競馬漫画。
初期のつのだじろうは少女漫画誌を中心に活躍していたので決して不思議ではないんですが、なかなかインパクトのある組み合わせではあります。少女漫画に競馬とアイヌ差別問題をテーマとして組み込んだ意欲作。kindle unlimitedでも読めるよ。
02.イッキ! (久寿川なるお)
ここがクセ強:死んだ童貞が輪廻転生したら競走馬になった。
人の言葉を理解できたらレースで無双できるんじゃね!? と思ってたらそんなにうまくいくわけもなく。競馬漫画としては比較的マイナーな本作ですが、大傑作です。電子書籍化していないので見つけるのはやや難しいけど、それだけの価値はある。
03.ウマ娘 シンデレラグレイ (久住太陽)
ここがクセ強:実在の競走馬を美少女にするって、普通に頭おかしいのでは?
3巻楽しみですね。
04.おっぱいジョッキー (木山道明)
ここがクセ強:おっぱいデカ過ぎ
Jカップの騎手がジャパンカップに挑む! というあらすじから想像できるのはバカまる出しのエロコメディでしかないんですが、中盤以降は熱い展開にシフトしていき、最終巻はめちゃくちゃに盛り上がる名レースとなっております。序盤の下ネタ連発祭りはだいぶ人を選ぶけど、食わず嫌いはもったいない1作。
05.キンクロ (戸田陽近)
ここがクセ強:エロあり鬱ありのウマ娘アナザー
競走馬がなぜか美少年や美少女になっている世界のお話で、種付けや予後不良などもバリバリ描いているので「誰も自重していない二次創作のウマ娘」感がある早すぎた作品です。
06.競馬漫画傑作選 獣たちの馬券 (郷力也)
ここがクセ強:セックス&バイオレンスに満ちた競馬ノワール短編集
『ミナミの帝王』作者が描く、競馬をテーマにしたクライムアクション劇画。競馬が今ほど市民権を得ていないころはこういうダーティな鉄火場漫画が普通だったんですが、90年代の競馬ブーム以降は激減した印象。ホントに印象だけで語ってますが。
07.激駿ドンガメオー (黒咲一人)
ここがクセ強:個々のエピソードがクセだけで構成されている怪作
人の言葉を理解できる超デブ馬・ドンガメオーと新人騎手コンビのドタバタギャグ漫画なんですが、どう見ても本筋と関係ないネタ回が重要な意味を持っていたり、ただの下ネタだったり、超重要なエピソードがあっさり流されたり、作者が計算しているんだかしていないんだかさっぱりわからない奇妙な構成に翻弄されます。
08.極道×騎手 (張慶二郎)
ここがクセ強:ヤクザな元騎手がヤクザと騎手を書く
銃刀法違反と覚醒剤取締法違反で調教師免許をはく奪された元騎手・田原成貴が原作。素行不良でホされ気味の騎手がヤクザと手を組んで大逆転を狙うといういろいろな意味でヤケクソな話。
09.JINBA (浦田カズヒロ)
ここがクセ強:「ケンタウロス競馬」という1ネタを擦りまくる
ケンタウロスが競走馬に! という出オチ設定をそれなりに作り込んでおり邪道な面白さがあります。ただ登場人物が全員性格破綻しており、それが逆に面白くなってきたあたりで最終巻という…。
10.パカ☆RUN (中林嵩晶)
ここがクセ強:前代未聞の美少女格闘競馬!
女の子が馬の背中に乗って武器を振るう新ジャンルのレース・格闘競馬! とのことですが、冷静に考えなくても競馬じゃない気がします。
11.走れイダテンキング!(左近士諒)
ここがクセ強:有名原作者が大暴走で掛かり気味!
原作は『包丁人味平』『プラレス3四郎』『やる気まんまん』等で知られる牛次郎。序盤は素晴らしいハッタリとド迫力の展開で見せるものの、「主人公の騎手が馬主の娘とエッチしているところをパパラッチに撮られて脅迫される」というしょ~もないエピソードを長々と続けているうちに失速しました。
12.優駿劇場(やまさき拓味)
ここがクセ強:実在の競走馬たちがフツーに喋る世界!
日本でおそらくもっとも多くの競馬漫画を描いているやまさき拓味先生。「幕末競馬漫画」だの「装蹄屋漫画」だのクセが強い作品は多数あるけれど、やはり『ウマ娘』にも出てくる名馬たちが騎手をほったらかしにしてレース中にメチャクチャ喋る『優駿劇場』は必読と言えましょう。最近kindle unlimitedでも読めるように。
13.よっ相棒(st.マーチン)
ここがクセ強:悲壮感がなさ過ぎる競馬ギャンブラー大成功漫画
競馬狂いギャンブラーのやさぐれ日誌…かと思いきや「無職独身だけど競馬で月収1500万円あるし、恋人も自分を慕ってくれる若者(実は血を分けた息子)もいるし友人も多いしJRAの馬主にもなれたし大勝利」という中年男性甘やかし漫画。原作は狩撫麻礼。電子書籍化はされていない。
13と言う数字は適当に決めたんですが、どうせなら18頭仕立てにしてもよかったですね。『My sweet ウマドンナ 馬きゅ~ん☆』『ポコあポコ』『とねっ娘』『熱い競馬漫画』『駄馬コマンコスキー』辺りを入れたら完全版になりますね。
これ以外の競馬漫画160作くらいのリストとか、その他競馬予想の役にまったく立たない競馬記事がまんさいなので読んでみてね。