ジャッカルの日

漫画・ゲーム・映画・怪奇についてバカが感想と考察を書く

『遊戯王デュエルリンクス』でのみ流行したわけのわからないデッキ16選

 最初に言っとくと『遊戯王』を知らない人は置いてけぼりです。

 

 「各キャラが使える特殊なスキル」「初期ライフ4000」「デッキ下限20枚」「独自のしょぼいカードプール」といった要素により、『遊戯王』OCG(オフィシャルカードゲーム)とはまったく異なる環境のアプリゲーム『遊戯王デュエルリンクス』。ここでは「冷静に考えたらこんなんが流行ってたのヤベえよな」という気にならないでもない、懐かしのデッキを適当に紹介していきます。

 ※『デュエルリンクス』のカード規制「リミットレギュレーション」は、 「LIMIT1」に指定されたカードはその中から1枚、「LIMIT2」に指定されたカードはその中から2枚までしかデッキに入れられないというもの。OCGの制限カード・準制限カードとは異なるので注意。

 


【恐竜雷龍】
 『デュエルリンクス』ではいろんな原作キャラを使用できるのだが、初期に人気だったのは《ジュラシックワールド》*1をゲーム開始時から貼ることができるスキル「恐竜王国」を持つダイナソー竜崎だった。当時は攻撃力1700の《アックス・レイダー》がウルトラレア扱いされていたほどで、攻撃力が1900になった《屍を貪る竜》、《二頭を持つキング・レックス》で一方的に相手を倒せる恩恵はかなり大きかった。この2匹で《ブラキオレイドス》を融合召喚できれば圧倒的アドバンテージを得ることができたほど。どうせ融合ギミックを組み込むならと、恐竜族でもなんでもない《サンダー・ドラゴン》と《双頭の雷龍》をついでに採用したデッキも少なくなかった。

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【海ビート】
 『デュエルリンクス』最初の追加パック「エイジ・オブ・ディスカバリー」は、デュエル開始時に自動的にフィールド魔法《海》を貼る梶木漁太のスキル、「海の伝説」と相性のいいカードが多数収録されていた。このため、初期の『デュエルリンクス』は竜崎と梶木がトップクラスの実力者という愉快な状況になっておりました。
 この頃の【海ビート】は《満ち潮のマーマン》をアタッカーに据え、《ヒゲアンコウ》からのアドバンス召喚や《大波小波》で《海竜-ダイダロス》を出し、盤面をリセットして一気に試合を決めるというものだった。ちなみに海デッキ自体は現在でも《伝説の都 アトランティス》や《潜海奇襲》を活用した形でそこそこ使われている。

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【カラテマンワンキル】
 《カラテマン》に《財宝への隠し通路》を使って直接攻撃可能な状態にした後、《閃光の双剣-トライス-》を装備させて2回攻撃を付与。その後、《カラテマン》の効果で攻撃力を2000にアップさせ、直接攻撃×2でライフ4000を削り取る。初期の一時期のみ流行したが、皆のカード資産が増え《エネミーコントローラー》《クリボール》《ツイスター》が行き渡ったころには怖くもなんともなくなってしまった。

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【狩場サクリ】
 孔雀舞のスキル「ハーピィの狩場」は、文字通りデュエル開始時に《ハーピィの狩場》*2を自動的に発動するというもの。比較的自由なタイミングで場の魔法・罠カードを破壊できるようになるため、相手の伏せ除去はもちろん、自分の《サクリファイス》で吸収した相手モンスターを破壊することで毎ターン効果を使えるようになる。あまりに強力過ぎたためか、スキル「ハーピィの狩場」が「デュエル開始時、デッキトップに《ハーピィの狩場》を置く」効果に変更された。また、「ハーピィ」自体のステータスの低さや展開の遅さも響き、徐々に姿を消すことになった。『デュエルリンクス』に実装されていない「ハーピィ」関連のサポートカードはまだまだあるので、何かのきっかけで再注目されるかもしれない。

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【スタンバイバーン】

 お互いのデュエル開始時の手札を1枚増やす真崎杏子のスキル「デュエルスタンバイ」を使用、相手の手札の枚数に応じて効果ダメージを与える《革命》や、その他《ファイアー・ボール》などのバーンカードを使って勝利するデッキ。半々の確率で相手か自分の手札を2枚増やす《カップ・オブ・エース》は、どちらの効果でも有利に働くので相性がよい。先行さえ取れれば圧倒的かつ一方的なデッキだったためか、2017年8月に《革命》がLIMIT1制限されてしまった。ちなみに『デュエルリンクス』で最初に制限されたカードがこの《革命》である。初期ライフ4000の『デュエルリンクス』でこの火力は脅威であった。
 杏子の「デュエルスタンバイ」は【デッキ破壊】にも使われることが多く、こちらも初期デッキ枚数が少ない『デュエルリンクス』では対策していないとあっという間に積みかねない。最近は《カップ・オブ・エース》に加え、相手に3枚強制ドローさせる《悪魔の監視者》がLIMIT2制限をくらったため【デッキ破壊】も弱体化している。

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【竹光バーン】
 《リーフフェアリー》を召喚後、《折れ竹光》《妖刀竹光》《黄金色の竹光》などの効果でドローしまくり、《黒いペンダント》などの装備魔法を《リーフフェアリー》で射出して1ターンキルするという理不尽極まりないデッキ。先手さえ取れればほぼ勝利できるほどの破壊力を持っており、やられた方は相手のソリティアを延々眺めていることしかできなかった。メタのつもりか《森の聖霊エーコ》*3が誰でも比較的ラクに入手できるようになったが焼け石に水、あっという間に《リーフフェアリー》《黄金色の竹光》ともどもLIMIT1に制限され構築不可能になった。

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【粉砕ナチュル】
 ノーマル、レアのみで組める安価なデッキ【ナチュル】が流行したことがあった。《ナチュル・ハイドランジー》自身の効果や《ナチュル・パンプキン》で上級モンスターを手軽に並べられるため、毎ターン「自分フィールドのレベル5以上のモンスターの数×300」分の攻撃力アップができる海馬瀬人のスキル「粉砕!」と非常に相性がよかった。社長が可愛らしいナチュルのお花や虫さんたちを並べて「ワハハハハハハ!」と高笑いする光景がランクマッチでよく見られたものです。

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【アロマヘイズ】
 OCGにもアロマと名の付くデッキはあるが、この場合は《魔封じの芳香》とも【アロマージ】とも関係なく(【アロマージ】デッキ自体は『デュエルリンクス』でもそこそこ強い方)、孔雀舞のスキル「香水戦術-アロマ・タクティクス」のこと。自分のデッキの一番上のカードを常に確認できるため、《陽炎獣 スピンクス》*4との相性は抜群。もともと相手のカードの効果の対象にならない陽炎獣をフィールドに並べ、《ビーストライザー》などで強化して攻守隙の無い盤面を作れる。上級モンスターが中心なので事故率はやや高いが、安価に組めるうえ、現在でもそれなりの強さ。

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【デビフラワンキル】
 ライフポイント5000を支払ってエクストラデッキの融合モンスターを召喚する《デビル・フランケン》。初期ライフ4000のリンクスではまともに使えないカード…ではなく、ライフポイントが1000以下の時、カードを発動するために払うライフポイントが必要なくなる「ライフコスト0」というスキルがある。この効果は次の相手ターン終了時まで続くので、《デビル・フランケン》の効果も2回使用できる。《局地的ハリケーン》で相手のセットカードをバウンスさせ、《青眼の究極竜》《サイバー・エンド・ドラゴン》で総攻撃すれば一気に逆転可能。スキル「ライフコスト0」を使えるのは杏子と梶木、リシド、エスパー絽馬だけなので、この4人が怪しい動きをしていたらライフを1000以下にしないよう立ち回る必要がある。まあ《神の忠告》*5《コズミック・サイクロン》で調整されたらどうにもならんけど…。今現在でも特に規制されていないデッキ。

※追記 2018年10月の仕様変更により、「ライフコスト0」は「次の相手ターン終了時まで、1度だけカードを発動するために払うライフポイントが必要なくなる」効果に調整された。

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【肥大化バーン】
 《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》を相手フィールドに召喚、《肥大化》や《呪魂の仮面》でロックし、《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》の効果ダメージや《アマゾネスの剣士》の自爆特攻で相手ライフを削る。初期ライフ4000の『デュエルリンクス』ではかなり有効な戦術。強制的に相手のデッキに《寄生虫パラサイド》を仕込むインセクター羽蛾のスキル「フライング寄生」も併用すれば、ラヴァ・ゴーレムを警戒してフィールドに2枚以上モンスターを並べない相手への対策になる(ついでにパラサイドの効果ダメージも入る)。後に《肥大化》がLIMIT1に規制され、やや組みにくくなった。

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【三星忍者】
 迷宮兄弟のスキル「三星降格」は「ライフポイントを2000払い、ターン終了時まで手札のモンスターのレベルを3下げる」というものだった。最上級モンスターを即出せるのはもちろん強力で、減ったライフも《至高の木の実》で簡単に回復でき、《二重召喚》があれば最上級2匹をポンポン出せてしまう。あまりに強かったので消費ライフポイントが3000に調整されたが、「忍者」が登場したことで再度注目を浴びる。いったん《黒龍の忍者》《赤龍の忍者》さえ出してしまえば、《忍法 分身の術》《忍法 変化の術》などを駆使して一方的な展開が可能だった。プレイングがやや難しい点*6、《忍法 変化の術》がウルトラレアで入手しにくい点がネックだったが、さらに「三星降格」が「ライフポイントが1000以下の時に使用できる」よう再々調整されてしまった。一時期は世界大会で猛威を振るうほど強力なデッキだったが、現在はめったに見かけない。

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【バランス氷結界】

 後攻で《氷結界の三方陣》を使用して相手モンスターを破壊、《氷結界の虎将グルナード》《氷結界の虎将ガンターラ》を特殊召喚して一気に場を制圧する【氷結界】が一時期流行した。先攻の場合でも自分はモンスターを召喚せずターンを終えればいいだけだし、手札さえ揃っていれば一瞬で勝利できるお手軽デッキ。特にスキル「バランス」や「リスタート」と併用するデッキが多かったようだ。
 スキル「バランス」は、開始時の手札がデッキ内のバランスに応じたものになる効果。例えばデッキのモンスターと魔法の割合が3:1なら、初期手札もモンスター3枚:魔法1枚で始められる(『デュエルリンクス』の初期手札は4枚)。
 もともとデッキ下限が20枚の『デュエルリンクス』で、高確率で狙った手札を初手から揃えられる「バランス」は明らかに壊れ性能。弱体化を重ねた結果、現在では「デッキにモンスター・魔法・罠カードがそれぞれ6枚以上入っていないと適用されない」ようになっている。
 「バランス」と同レベルで汎用性が高いスキルだったのが、初期手札を1度だけ引き直しできる「リスタート」。こちらは「次の番自分は通常ドローができない」という形に調整された。この2つのスキルの弱体化、優秀な除去カードの増加などの理由もあり、現在は【氷結界】自体それほど脅威ではない。

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【サフィラ機械天使】
 2017年9月に「遊戯王GX」キャラが登場して以降、長らくランキング上位を占めていたのが「サイバー・エンジェル」中心の儀式デッキ。いまだシンクロ召喚すらないようなカードプールのデュエルリンクスで、第9期(2016年)登場の機械天使は明らかにオーバースペック。高いステータスを持ち除去も可能な《サイバーエンジェル-荼吉尼》、耐性を付与できる儀式魔法《機械天使の儀式》、手軽なサーチカード《サイバー・プチ・エンジェル》といった強力カードが揃っており、しかもキーカードの多くが天上院明日香のレベルアップ報酬&ドロップ報酬なので、課金せずとも比較的手軽に入手可能。あまりにも強力だったため、2017年11月に《サイバーエンジェル-荼吉尼》《機械天使の儀式》が異例の早さでLIMIT2に規制されたが、《竜姫神サフィラ》《輝神鳥ヴェーヌ》などの儀式モンスターを加えたデッキも流行。依然として高い使用率をキープしていたため、とうとう2018年6月に《サイバー・プチ・エンジェル》もLIMIT2入り。サイバー・エンジェルデッキはまともに組むことすらできなくなってしまった。

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【自滅】

 『デュエルリンクス』で各キャラが使う固有スキルの中には、対戦後のドロップ報酬でのみ入手できるものがある。スキル集めで効率だけを追い求めるなら「対人戦でサレンダー以外*7の手段でさっさと負ける」のがいちばん手っ取り早い(対人戦で負けても、ある程度の報酬と経験値はもらえるため)。この稼ぎプレイに特化したのが自滅デッキで、《デステニー・デストロイ》《サイコロン》《ヒエログリフの石板》など、自分のライフを減らす魔法・罠カードをひたすら使うだけ。相手している方はちっとも面白くないが、無償で勝ちは譲ってもらえているわけで、ある意味Win-Winなため特に問題にはなっていない。少なくとも今のところは。

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【増刷害悪】
 ライフが2000減るごとに、次のドローフェイズで引いたカード1枚を2枚に複製できるペガサスのスキル「増刷」を活用したデッキ。《黄金の天道虫》でライフを維持しつつ、《レインボー・ライフ》《イタクァの暴風》《ドレインシールド》などの罠カードを増刷して相手をロックする。後に「増刷」がデュエル中に1回しか使用できなくなったことで大幅に弱体化した。

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【サイレントワンキル】
 《サイレント・ソードマンLV3》に《財宝への隠し通路》を使って直接攻撃可能な状態にし、《沈黙の剣》で攻撃力をアップ&効果耐性付与、《アサルト・アーマー》で2回攻撃を付与し、ワンキルを狙うデッキ。やってることは上記の「カラテマンワンキル」と変わらないのだが、効果耐性が付くため止めることが非常に難しい。現在は《財宝への隠し通路》《アサルト・アーマー》《沈黙の剣》がLIMIT2に規制されている。

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 以上です。ちなみに今現在(2018年7月)の『デュエルリンクス』では、OCGでは2018年に登場したもののたいして流行らなかった【空牙団】デッキが猛威を振るっています。そりゃ最近出たばっかのカードがリンクスに来たら強いよな。あと筆者は『遊戯王』OCGをプレイしたことがありません(チェーンとか理解できないため)。

www.konami.jp

*1:恐竜族の攻撃力と守備力を300アップする

*2:ハーピィを召喚した時、場の魔法・罠カードを1枚破壊できる

*3:効果ダメージを受けた時に手札から特殊召喚でき、相手に同ダメージを与える。さらにそのターン中、以降は効果ダメージを受けなくなる

*4:デッキの1番上のカードの種類を当てると、手札・墓地から炎属性モンスターを召喚できる

*5:ライフポイント3000を払って相手のモンスター召喚、魔法・罠の発動を無効にする

*6:具体的にどう難しいのか説明するのが面倒くさいレベル

*7:サレンダーすると報酬等はもらえない

【特集】25年前のエロラノベレーベル「ナポレオン文庫」の名作珍作レビュー18選(後編)

 ※前編はこちら

meattrain.hatenablog.com

 

-もくじ-

 

ウィアード・ハンター 時空妖術書の謎

キャラ設定盛り過ぎ、エログロやり過ぎ
過剰サービス精神の二郎系小説に大満足

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エロ度  ★★★★★
面白度  ★★★
キャラ  ★★★
イラスト ★★★★★
斬新さ  ★★★★★

【STORY】
 「ウィアードハンター」…彼らは妖魔を狩るためのエキスパートである。液体金属の鎧「リキッドアーマー」を装着し、世界規模で展開する協会のバックアップの下、日々戦いを続けているのだ。
 強大な退魔士の血を引く少年・剣と、虎人族の少女・虎紅。ともにウィアードハンターである 2 人は任務中、400年後の未来から来たと名乗るウィアードハンター・キャナリーと出会う。キャナリーは過去へと逃げ込んだ魔導犯罪者・ミゲルを追ってこの時代に来たのだという。
 ミゲルの求める悪魔の魔導書マルボルギアは、とあるミッション系の女学院に封印されていた。妖術で学園を支配したミゲルの元へ、剣・虎紅・キャナリーが向かうものの、強大な力を前にキャナリーは倒れた。剣と虎紅は、操られた女生徒たちと共に凌辱の限りを受けることになる…。
【解説】
 ツボを抑えたエロにわりと容赦のないグロ描写、小道具満載のアクションと、見どころの多い娯楽作。一気にかっ込みたいところだが、なにせ名前付きの登場人物が多く、視点も次々と切り替わりながらエピソードが展開するのでボリューム感はある。というか、全体的に要素が詰め込まれ過ぎの印象があり、読んでいて混乱をきたすほど。ヒロインの虎紅からして、「虎の姿に変身できる獣人」で、かつ「変身ヒーローようなアーマー」を着込み、「妖魔に対抗できる腕利きハンター」である。どれか1つでよくない…? 正直なところ、それらすべての設定に必然性があるとは思えないし。出てきた意図がわからない「月読の姫様のお使い」だの、ラストのとある人物の出生の秘密だの、冷静に考えると首をかしげてしまうような箇所も少なくない。腰を据えて読むほどに、細部が気になってしまうのは少々惜しい。
 作者・中笈木六は「ナポレオン文庫小説大賞」の受賞者。雑破業、星野ぴあすに憧れてこの業界に入った…とは本人の弁。『あそびにいくヨ!』シリーズを書いたラノベ作家・神野オキナとはなぜか公式ホームページを共用しており、同サイトによれば中笈木六は昭和45年の1月生まれで、神野オキナは 70 年生まれの山羊座とのこと。

 


 

封印された少女の記憶 シャランドの嵐

少女の記憶に眠る超兵器の秘密!
手堅く読ませるが終盤は…

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エロ度  ★★★
面白度  ★★★★
キャラ  ★★★★
イラスト ★★★★
斬新さ  ★★

【STORY】
 崩壊後の世界。町を離れ独り暮らす少女・リュミアの住むクレーター跡を、ミアフィス連邦の軍団長・ゼルクとその兵士たちが襲撃。逃げ出したリュミアは通りすがりの少年・トールに助けを求めるが、2人はシャランド王国の国境警備隊に捕らえられる。
 シャランドの女司令官・ネイラと副官・フィリーは、リュミアが終末戦争を引き起こしたとされる究極兵器“ラストタリオン”の秘密を知ることに気付く。普段は記憶の奥底に押し込められているが、愛する人とのセックスで絶頂に達したとき、リュミアはその記憶をすべて取り戻すのだ。リュミアの秘密がミアフィス連邦に知られれば、シャランドはおろか世界の存亡の危機になりかねない。援軍を要請したゼルクは圧倒的兵力を持ってネイラ隊を襲撃。リュミアとトールもミアフィス連邦の手に落ちる…。
【解説】
 作者の荒神伊火流は SF作家・森岡浩之の変名。古代超兵器の秘密を知る少女を巡り、王道な物語が繰り広げられる。細やかな描写が世界観にリアリティを与えており、大変読みやすい。旧文明の遺産たるポンコツトラックを運転するトールが、エンジン音にかき消されないよう大声を張り上げてリュミアと会話するシーンとか、さりげない一幕ではあるけれど、脳内再生余裕な名シーンと言える。話の先が気になるせいで、エロシーンがまどろっこしく感じるほど。ちなみに“ラストバタリオン”の正体については、目次の章タイトルで完全にネタバレされている。
 中盤まではぐいぐい読ませるが、終盤、ゼルクがリュミアを拉致して以降は、名前は出さないが国民的アニメの代表作ともいえるアレそっくりの展開になってしまう。ここは本作の大きな弱点で、「ああ、要はアレの二次創作なのか~」と考えてしまうと途端に物語自体がチープに感じられてしまう。あんまり意識しない方がいいのだろうが。

 


 

遥かなる結界の光 魔海伝説

イラスト以外の長所が見当たらない
ゴミ展開のマリアナ海溝

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エロ度  
面白度  ★
キャラ  
イラスト ★★★★
斬新さ  ★★

【STORY】
 スケベ高校生の和也と真は、同級生の小久保が突如女体化してしまった理由を調べていた。調査中、和也は逆ナンされた見知らぬ美女とセックスするが、女はいきなり爆発四散、部屋中に臓物を撒き散らす。驚いて逃げ出した和也の前に謎の男が現れ、「女を殺したな、殺人者は死刑だ」と銃を向ける…。命からがら追っ手をまいた和也は、小久保が訪れたという茨城県の海岸へ向かい、消息を絶つ。
 真は幼なじみの美奈とともに和也を追い、茨城の海岸にたどり着くが、不思議な異空間に迷い込んでしまう。超科学で生み出された異空間は、遥か昔に地球を訪れた宇宙人たちのアジトだったのだ!
【解説】
 ヌケない・つまらない・くだらないの三拍子揃った最低クオリティの1本。「先の予想もつかないストーリー」と言えば聞こえはいいが、展開は雑の極みで突っ込み疲れるレベル。登場人物は世界の果てのように頭が悪い。こんな内容だがイラストはハイクオリティで、本作の評価点はそこだけである。
 冒頭は(多少は)先が気になるように書かれているが、中盤も中盤の96ページで「真はテレパシーで相手の考えることを読み取るし、多少の念動力も持っている」と、まさかのエスパー設定が明らかに。唐突過ぎる新事実が“みなさんご存知の通り”みたいなテンションで展開されるので「知らねえよ」としか言いようがない。以後は和也と美奈もエスパーであることが明かされ、超能力を駆使して科学兵器を操る宇宙人たちをなぎ倒していく激安展開に。唐突過ぎるんだよ! いや、「ピンチに追い込まれるとオーラが燃え上がる」って描写は64ページにあったけどさ、オーラとかいきなり言われても困る。
 主人公たちにまったく好感が持てないため、次元の狭間でひそやかに暮らしていた宇宙人たちの村に、バカがカチコミをかけて全滅させたようにしか見えない。あと「浦島太郎は女だらけの宇宙人に囚われ、精力を絞りつくされて老人になった」とか、江戸時代の「うつろ舟」の話だとかのおもしろSF解釈もあるけど、どーでもいいって感じッスわ。エロ部分も「チ×ポ入れてえ」、「はいはい、すぐにお入れしますですよ、はいーっ」など萎える会話ばかりで実用に耐えない。和也・真とセックスした女はほぼ全員内臓を撒き散らして死ぬし、ヒロインの美奈は下着姿を見せるだけで絡みなし。ヌかせる気ねえだろ!!

 


 

沙霧姫★雪肌七変化 女忍者 秘蜜淫法帖

姫武者&ショタ若様が妖魔に挑む!
くノ一エロ忍法は見せ場無し!

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エロ度  ★★
面白度  ★★★★
キャラ  ★★★
イラスト ★★
斬新さ  ★★★

【STORY】
 時は戦乱の世。武央の国の領主・剛炎は、魔魅に見入られし者が集うと呼ばれる暗黒の地、夜魔帝国への遠征中に行方知れずとなる。家臣たちは報復を進言するが、剛炎の息子・夢麿は腰を上げようとしない。夢麿の若き妻・沙霧はそんな夫の態度に業を煮やす。
 夜魔帝国は他国への侵攻を本格的に開始した。妖淫界の奇怪な術に対抗するすべは無く、沙霧の生まれ育った摩虎羅国は滅ぼされ、子飼いのくノ一らも夜魔の手に堕ちる。怒りと悲しみで我を失った沙霧は夢麿に刃を向けるが、セックスしたら仲直りできた。夢麿の未知なる力、隠された出生の秘密に気づいた夜魔帝国の女王・氷美花は、夢麿を我が物にせんと画策するが…。
【解説】
 表紙裏表紙のイラストが特筆レベルでヘタッピな本作。本文イラストはここまでアレではなく、女の裸やおっさんの顔は悪くない。逆に言うと着衣の女性、おっさんの体、おっさん以外の男は壊滅的である。
 和風の異世界を舞台にしたファンタジーだが、タイトルから想像できるようなくノ一物ではない。くノ一は確かに登場するのだが、みな忍術を披露する間もなくヤラれてしまうモブ扱いでしかない。唯一披露される忍術は「声を出さずに言葉を伝える」という単なるテレパシーで、地味にも程がある。山田風太郎ばりの淫術合戦を期待していると肩透かしをくらうだろう。
 昼行灯の若様&勝気な姫君 vs 妖魔軍団、という図式はなかなか面白い。終盤はやや急ぎ足になるが、お約束と意外性がほどよくミックスされた展開に作者のサービス精神を感じる。ただ肝心のエロシーンはどれも尺が短く、取ってつけたような印象しかない。いっそのこと、まったく活躍していないくノ一らの存在をまるまる削り、他の描写にページを割いていれば読み応えのある戦国伝奇エロ小説になっていたのではないか。そう思えてしまうほど、くノ一たちがホント役立たずで…。

 


 

ハイランド三姉妹、危機一髪! 華麗なる女賞金稼ぎ

無法の荒野を行く女賞金稼ぎ!
エロも面白さも抜かりなしの傑作

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エロ度  ★★★★
面白度  ★★★★★★
キャラ  ★★★★★★
イラスト ★★★★★
斬新さ  ★★★★★

【STORY】
 荒野を駆ける美人姉妹の賞金稼ぎ、その名もエレン、ジーナ、ライのハイランド三姉妹。銃もギャンブルもお手の物、色気で悪党たちを屈服させる彼女たちの前に敵はいない! 超A級賞金首キルリアン・オーラを探し求め、とある町を訪れた三姉妹。雑貨屋で働く童貞青年・ロジャーを拉致同然にさらって旅に同行させるが、ロジャーもまんざらではない様子。
 旅の最中、悪徳牧場主のアダム・リンガムとのギャンブルに大敗してしまったジーナは、最後のチャンスとして競馬勝負に挑む。牧場主相手に競馬はあまりに不利と思われたが、ロジャーとライが偶然出会った少年・アレックスとその馬・リズミカルに勝負を託す。ロジャーの目利き通り、リズミカルは 5 頭身差を覆すすばらしい走りで大逆転をもたらした。
 自由を勝ち取り、故郷の町でくつろぐ一行だが、競馬での負けを恨むアダムは殺し屋を雇ってエレンとジーナを誘拐する。ライとロジャーは 2 人を救出するため、リンガム一家のアジトを目指す…。
【解説】
 この界隈では比較的珍しい「西部劇」という題材を、見事にエロラノベに落とし込んだ傑作。メインストーリーは「実在するかも疑わしい、超 A 級賞金首キルリアン・オーラ」を巡る三姉妹の旅にあるのだが、大筋に直接絡まないサブエピソードも読みごたえがある。無法の賞金稼ぎである美人三姉妹に加え、悪役、チョイ役、サオ役に至るまで、印象的なエピソードを組み込んでキャラ立てしており、隙が無い構成。
 エロシーンも手ぬかりなく、 250 ページに満たない小説とは思えないほど濃ゆい。タランティーノならこれで5時間撮れるだろう。イラストも悪くなく、表紙は「オッパイが出ていますよ」と普通に注意したくなるものの、陰影のくっきりした画風は世界観にピッタリ。
 クライマックスは血生臭さに満ちた凄惨なアクションだが、訪れる無常感の果てには、穏やかで救いに満ちた結末が待っている。端々にまで作者の西部劇愛を感じられる1作。

 


 

囚われの女子高生を救出せよ 宇宙刑事ヴォルクバン

宇宙刑事・巨乳・クトゥルフ!
オタク趣味盛り込み過ぎの快作

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エロ度  ★★★★
面白度  ★★★★
キャラ  ★★★★★
イラスト ★★★★★
斬新さ  ★★★★

【STORY】
 宇宙の辺境にある未開拓惑星・地球。宇宙犯罪組織のならず者たちが身を隠すこの星に、汎銀河連邦より腕利き(?)の宇宙刑事が派遣された。その名も銀河特捜ヴォルクバン! 地球での名は坂志狼。パートナーの葛城梨緒とのコンビネーションで、今日も宇宙犯罪組織の連中をブッ殺すぜ!
 そんな彼らの前に現れたのは、宇宙海賊幹部・ゴマンデス。かつてない強敵の出現だが、志狼は巨乳女警視・ディアナの魅力にメロメロだ! ディアナとの屋上ファックを梨緒に目撃された志狼、2人の間に走る亀裂。どうなる地球! どうなるヴォルクバン!
【解説】
 タイトルからもわかる通り、東映の宇宙刑事シリーズが下敷き。梨緒の服装はもろに『宇宙刑事シャイダー』のアニーだし、瞬間転送される装甲スーツ、高性能AIを搭載したバイクなど、小道具も雰囲気アリ。射撃が圧倒的に苦手という設定ゆえ、格闘スタイル重視で戦うヴォルクバンのバトルも見応えある。
 悪の組織は女幹部を使ってヴォルクバンを凋落しようとするのだが、その理由が「刑事を始末しても後任が来るだけ、ならば色仕掛けで仲間に引き入れておいたほうがよい」というもので、妙に理屈が通っている。田舎の辺境惑星に派遣された、めちゃくちゃ強いけど女好きな刑事相手にこれ以上の策はあるまい。
 エロ関連では、執拗なおっぱい描写が作者の特徴。おっぱいと触手、そしておっぱい、続けておっぱい。志狼の上司で宇宙人(巨乳かつ興奮すると母乳が出る民族)でもあるディアナや助手の梨緒だけでなく、冒頭で怪奇クトゥルー男に触手姦される女教師、上九一色村の宇宙奴隷センターに拉致された少女などのモブを含めて、登場するヒロインたちは巨乳ばかり。未遂で終わるとはいえ、この時代でニプルファックの概念を取り入れているのは特筆に値する。ちなみに作者は、士郎正宗がイラストを手掛けたことで話題になったエロクトゥルフ神話『邪神ハンター』を出海まこと名義で出している。

 


 

金田一流の事件簿 ヒ・ミ・ツの処女探偵日記

一切謎が解決しないし知りたくもならない
掟破り過ぎる推理小説モドキ

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エロ度  ★
面白度  
キャラ  ★
イラスト ★★★★★
斬新さ  ★★★★★

【STORY】
 上津京平は夢を見る。幼なじみで隣に住む女子高生、金田一流(かねだいちる)が見知らぬ男たちに蹂躙され、犯され、歓喜の表情を浮かべる夢を。夢の中の京平もそれを受け入れ、男たちに交じって一流を汚し続ける…。
 7月も終わりの夏休み。京平がアルバイトを始めたペンションになんの偶然か、一流と彼女が在籍する那央学院・護身部の面々がやってくる。女の子だらけのバイト先だが、京平を敵視する女生徒もいてパラダイスとは言いがたい。
 そんな矢先、女子高生密室レイプ事件が発生。真っ先に京平が疑われ、京平を敵視する護身部部員と、京平をかばう一流の間に軋轢が生まれるが、被害者は次々と増えていく。非日常の状況の中、京平と一流はお互いに強く結びつくことになる…。
 合宿は終わり、けっきょく密室レイプ事件の犯人もそのトリックも判然としなかった。一流は護身部のOB・新開地里美と会い、事件の真相についての推理を述べる。しかし里美はその推理の穴を突き、さらに女生徒の狂言説、京平犯人説、ひいては一流の証言ですらあてにならない事を指摘し、様々なトリック・犯人の可能性を挙げてみせる。すっかり混乱した一流に対し、里美は「あなたが好きな結論を受け入れればいいのよ。だって、今のあなたはしあわせなんだから。ね?」と笑うのだった。
【解説】
 大問題作の1つ。タイトルを見れば誰でも推理モノのミステリだと思うし、作者もそのつもりで(しかも、かなりの力を入れて)書いているようだが、話のキモとなる密室トリックと真犯人が未解決のまま終わっちゃ駄目だろう。あとがきを読む限りでは決して伏線だけ張って投げ出したわけではなく、作者の中ではちゃんと解答が用意されているようで、「事件はこれでおしまい。推理の時間です」だの「鋭意、続編を準備中です。もちろん読者の皆さまのご指示ご要望があってのこと」などと書かれているが、続刊が決まっていない段階で未解決のまま終わらせるなと言いたい。けっきょく続編は刊行されることなく、真相は闇の中である。つまり、「未だにトリックが明らかになっていない推理小説」でもあるので、驚異的な忍耐力を持つ読者の方は真相解明にチャレンジしてみてはいかがだろうか。地の文を侵食する口語体、やたら多い平仮名、ミスリードを狙っているのか無駄だらけでクドい描写の数々…といった文章自体の問題が多く、細部を見落とさないよう読み進めるのはかなりの根気がいる。
 物語自体も出来はよくない。7月末に大雪が降ってペンションが孤立無援になる状況を「異常気象」で済ませるのは、いくらなんでも適当過ぎないか? あまりにも無理やりなので、たぶんなんらかの形でトリックの真相に関わってくるのだろうが(そうでなきゃ怒るぞ)。主人公視点のキャラクターである京平が、あまり信用できないパーソナリティの持ち主であることが終盤で明かされるのも衝撃的だが、推理小説としての土台がしっかりしていないので裏切られたような不安感しか残らない。中身がアレ過ぎる作品にはよくあるパターンだが、イラストはキャラデザも含めて良い出来。表紙のカラーイラストはかなり印象が異なり、損をしている気もするが…。
 作者のペンネームで検索すると旧世紀アトモスフィアのホームページがヒットし、本作について触れられたページもあるのだが、“工事中”のまま放置されている。「ひょっとしたら小説本編で明かされなかった真相がここに!?」と期待してしまったが、空振りに終わった。メインコンテンツはエロゲーの愚痴レビューであった。

 


 

次元特捜EXERON(エグゼロン) 魔淫の侵略者

怪獣・人間・宇宙人を見境なしの大虐殺!
子供に見せられない特撮ヒロイン

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エロ度  ★★
面白度  ★★★
キャラ  ★★★
イラスト ★★★★★
斬新さ  ★★★★

【STORY】
 世界各地に突如現れる、謎の怪獣軍団。恐るべき怪獣たちの侵攻に立ち向かうため、敵性地球外生物駆除隊・略して敵駆(テック)が結成された。テック隊員・梨菜子は宇宙ステーションでの作業中、謎の事故にあう。混濁する彼女の意識に、銀河連邦の特務執行官を名乗る宇宙人・エグゼロンが語り掛ける。銀河のテロリスト・リプラトラ星人を追ううちに異次元へと飛ばされたエグゼロンは、梨菜子を特異点として身体を維持することができるのだという。
 意識を取り戻した梨菜子は地上での勤務に回されるが、リプラトラ星人の操る巨大怪獣が出現。梨菜子の乗る戦闘機は撃墜されてしまうものの、突如まばゆい光が彼女を包む。そして怪獣の前に降り立ったのは…身長50メートルの銀色の巨人! 巨人はまたたく間に怪獣を退治。しかしリプラトラ星人の魔手は、すでにテック隊員達にも伸びていた…。
【解説】
 『ウルトラマン』シリーズを彷彿とさせる巨大ヒロインもの。パロディ要素はほとんどなく(章タイトルが『ウルトラセブン』のサブタイトルのもじりになっていることくらい)、怪獣・宇宙人の脅威に立ち向かう防衛組織隊員の奮闘を真正面から描いている。エロゲ原画の実績もある十羽織ましゅまろのイラストは素晴らしく、カラー映えする表紙は見事。エグゼロンのデザインもツボは抑えており、銀の体色に赤い線で模様が施され、股間部にはその模様で女性器マークが描かれている。カンペキだ。
 難点はとにかく暗くて救いがなく、エロシーンも陰惨なこと。敵性宇宙人・リプラトラ星人は映画『ヒドゥン』を思わせる寄生型で、主人公の恋人も後輩も、親しい人はみな寄生されてしまう。頼みの綱のエグゼロンは下等生物たる地球人の命などなんとも思っておらず、怪獣退治の巻き添えで多数の死者を出す始末。エロシーンは寄生された男女の乱交・レイプばかりだし、ラストは植物人間になった恋人にまたがり、主人公が泣きながらセックス。気の毒過ぎてチンポも黙祷。そもそも、せっかく巨大ヒロインという題材を取り扱っておきながら、変身後のエロシーンが一切ないのはどういうわけか。銀色ピッチリスーツの巨大ヒロイン vs 触手怪獣のカラミの1つでもあれば、その筋で長く語られる伝説の 1 作になっていたのでは? 惜しい。

 


 

精霊界のお騒がせ娘 ミークにおまかせ!

時代を考えても古すぎる
おまかせできない旧型ラブコメ

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エロ度  ★★★
面白度  ★★
キャラ  ★★
イラスト ★★★
斬新さ  

【STORY】
 予備校生・拓也は、最近とにかくついていない。彼女の杏子にはふられるし、ダブル役満は振り込むし、パソコンはウイルスに感染するし…。助けを求めてボディコン霊能力者・綾香の元を訪れた拓也は、守護精霊のロリ少女・ミークと出会う。ミークによれば、1週間のあいだに4人の不幸な女の子を救わなければ拓也は一生ついてないままだし、チンポから精液も出なくなるというから大変だ。 
 不幸な女の子を探しては、お悩み解決のため奮闘する拓也。野外SEXでしか感じない女子大生は、見晴らしのいいラブホの窓際で犯す。よく痴漢に会うという女子高生は、憑りついている淫魔をSEXで退治。杏子ともなんだかんだあり、SEXでよりを戻せた。よかったね!
 しかし、どうしても最後の1人が見つからない。このままではミークも消えてしまう…。いや待てよ、ということはミークも不幸な女の子では!? というわけでミークをSEXで慰めたところ、なんとかなった。
【解説】
 心の底から「しょうもない」と言い切れるストーリー。無理やりエロ展開に持っていくためだけに作られたような設定もアレだが、キャラ造形に物語展開、すべてに古さを感じる。『GS美神 極楽大作戦!!』ですら1991年の作品なのに「ボディコン霊能者」て。杏子と拓也のデートは東京ドームの巨人戦だし…。1998年の当時でも、相当古かったのではないか。守護精霊というキーワードがかろうじてファンタジー要素を醸し出しているが、「ミークは守護精霊の会社をまわったが、適正が無いのかどこでも採用されず…」というファンタジーのカケラもない一文に撃沈される。駄目だコリャ。

 

 

 以上です。ナポレオン文庫はほとんどがアマゾンのマケプレで¥1で買えるからよいですね。この18作以外にも凄いのがあって凄いので読んでね。(了)
kinyuukai.booth.pm

【特集】25年前のエロラノベレーベル「ナポレオン文庫」の名作珍作レビュー18選(前編)

 

 1980年前後生まれの性少年のポコチンを熱くした「ナポレオン文庫」から、幅広く18作品をピックアップ。元は文学フリマに出品した同人誌『二級河川15 古本仁義』掲載原稿で、同誌がboothショップで早々と売り切れてしまったため、ブログでも掲載します。(注:ド下ネタです)

kinyuukai.booth.pm

 


 

【概要】 

 ナポレオン文庫とは、20年以上前にフランス書院より刊行されていたジュブナイルポルノ…いわゆるエロラノベのレーベルである。漫画やビデオより比較的購入しやすい(小説には成人指定が無いため)、文庫ゆえ左手だけでページをめくれる(右手で別の事が出来る)等の利点から、オカズに悩む男子の強い味方であった。90年代のオタク中高生は皆、ナポレオン文庫か電撃姫のエロゲー紹介ページか遊人の『ANGEL』でシコり倒していたのである(個人の見解です)。現在でもそこそこの数のレーベルがあり、多種多様なシチュエーションで性少年のポコチントレーニングに貢献するエロラノベだが、ナポレオン文庫こそがその元祖と言えるだろう。商業的に出版された最初のエロラノベは、1980年代後半の富士見文庫から出ていた倉田悠子(稲葉真弓の変名)作品辺りと思われるが、レーベルとして本格的に刊行されたのはナポレオン文庫が初である。たぶん。ファンタジーやSFはもちろん、ミステリに時代劇、特撮パロディに格闘モノといった狭そうで実際狭いジャンルの作品群の中には、現在でも活躍する著名作家のタイトルも混じっている。
 今回はナポレオン文庫レーベルの中から、できるだけ広いジャンル、多くの作家を紹介できるよう、18作をセレクトした。そもそもこの記事は古本特集の一環として企画された「1000円(税込)の予算でどこまでシコれるか? 第1回・古エロ本シコリンピック~!」というものだったが、「クソすぎる」「そんな記事と一緒に載る身にもなってほしい」「Webチンカス」等の抜本的路線見直し要求が挙がったため、個人的に「ブックオフ108円コーナーに並ぶ安エロ本」の代名詞でもある本レーベルを取り上げることとなった。以下、基本的な書誌情報に加えエロシーンのエロさ(エロ度)、読み物としての面白さ(面白度)、キャラクターの魅力(キャラ)、イラストのエロさ・可愛さ(イラスト)、物語の斬新っぷり(斬新さ)の5つの視点から評価し、あらすじ・レビューと併せて紹介している。これらの作品は今でもわりと簡単に買えるので、興味を持たれた方は実物をアレしてみてはいかがだろうか。

※書誌情報については書名にAmazonリンクを貼っています。

-もくじ-

  • 影魔王ザナック
  • ロックン☆ビーナス
  • 吸血学園  ヴァージン・クライシス
  • TOKIO機動ポリス 美少女隊員、出動せよ!
  • トキメキ☆レッスン 麻由のきゃぴるん初体験!
  • セーラー・バニーX ウサ耳女子高生♥あぶない体験
  • 格闘少女☆麗矢 バトル・オブ・セーラー服
  • テレパラサイト☆コール 小悪魔たちの囁き
  • リバース ドリームダイブで学園を救え!
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