ジャッカルの日

漫画・ゲーム・映画・怪奇についてバカが感想と考察を書く

『ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ』初心者基礎知識ー効率的なDNAの集めかたetc.

 『ウルバト』の基本中の基本に加え、プレイ時に知っとくと便利で、かつチュートリアルでは説明してくれなかったり、ヘルプを熟読しないと気付かなかったりする諸々についてまとめまんた。 ※2021/1/12更新

 

meattrain.hatenablog.com

 

■もくじ

 

【怪獣の初期レア度について】

・初期レア度に関わらず、どんな怪獣でも最高レア度の★6まで進化させることができる。
・初期レア度が高い怪獣ほど、進化に必要なDNAが高価で集めにくい傾向にある。★2、★3への進化はかなり楽に行えるので、トータルで見れば初期レア度の低い怪獣のほうが★6までにかかる費用は安い。
・レアな怪獣ほど、固有スキルや必殺技の追加効果の汎用性が高い場合が多い(あくまで一般論)。最初から所持している継承スキルに関しては、明らかにレア度が高い怪獣のほうが強力。

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【攻撃、必殺について】

・攻撃=いつでも行える通常攻撃、必殺=SP(必殺ゲージ)が最大まで溜まった時に放てる必殺技。
・2つはまったく異なるものとして扱われる。例えば「攻撃を受けた時に発動するスキル」は、必殺技を受けた時には発動しない。同じく、必殺技の威力には「攻撃」の能力値は影響しない。


【攻撃タイプについて】

・通常攻撃の射程を示す。近距離と遠距離があり、基本的に近距離は射程1、遠距離は射程2マス。
・遠距離型のほうが率先して攻撃をしかけやすい。一方で近距離型は通常攻撃、必殺技に10%の命中プラス補正がかかるメリットがある。さらに通常攻撃の威力も、近距離型は少しだけプラス補正がある。

 

【必殺技について】

・必殺技のレベルを上げると威力が上がるほか、命中率アップ補正がかかる。レベル10まで上げると10%の補正プラスになる(ウルトラ必殺技除く)。
・必殺技の射程、範囲はユニットによってかなり異なる。ステータス画面で確認でしよう。
必殺技の追加効果は、怪獣のランクが★3になると解放される。ウルトラ必殺技の場合も同様。ウルトラ必殺技の場合、★6になるとさらに効果が強化されることもある。
・行動やスキルによってSPの溜まる量は異なる。具体的には以下の通り。

 攻撃する(回避された場合も含む) +30(+α)
 攻撃を受ける(回避した・身代わりされた場合も含む) +30
 自フェイズ終了 +15
 味方が倒される +(120÷残りの味方数)
 SP 超アップ +25
 SP 大アップ +20
 SP 中アップ +15
 SP 小アップ +10
 SP 微アップ +5
 SP獲得率 大アップ +20%
 SP獲得率 中アップ +15%
 SP獲得率 小アップ +10%

 ・スキルによるSPアップは、必殺技の必要SP量によって変わる。上記は必要SPが100の場合。必要SPが倍の200ならSP超アップで溜まるSPも倍の50になる。

・SP獲得率アップ系スキルは、SPアップ系スキルには発動しない。被弾時や攻撃時のSPアップにのみ効果がある。

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【ダメージについて】

・ユニットにはの相性が設定されている。に強く、に強く、に強い。は相性によるダメージの増減が発生しない。
有利な相性の相手には1.3倍のダメージを与えられる。不利な相性の場合、ダメージは0.7倍になる。
・相手の弱点属性を突くと、ダメージが約1.1倍になる。

・クリティカルが発生すると、ダメージが約1.1倍になる。

・能力の防御(近)は近距離型から受ける通常攻撃、防御(遠)は遠距離型から受ける通常攻撃に対応している。
・必殺技に対する防御力は防御(近)と防御(遠)の平均値で計算される。

・スキル「ガード」が発生すると、受けるダメージは約0.5倍になる。 

 

【命中・回避について】

・命中率の最低は20%だが、最終的な値は暗闇状態補正、近距離攻撃タイプ補正、必殺技補正、連続ターゲット補正等によりさらに増減する。攻撃側が暗闇の場合は命中率が0%になることもある。

・計算式は(こちらの命中÷相手の回避)÷2×100を四捨五入(おそらく。多少ブレがある模様)。

・基本的に「アタッカーの命中>回避タンクの回避」なので、回避チームを作るなら回避バフに特化するより命中デバフも交えたほうが効率がいい。

 

【スキルについて】

・スキルはレベルアップさせることで効果が上がる。リーダースキルの場合、怪獣のランクを上げることで効果が上がる。
・固有スキルがレベル10になると追加効果が発生する。発生条件は基本的に最初のものと同じ。固有スキル11レベルで継承スキルの5枠目が解放。一部の怪獣は固有スキル12レベルまで上げることができ、新たな効果が追加される。
・同じ名称の継承スキルは持たせられない。ただしリーダースキルは別(リーダースキルと同じ名称の継承スキルを同一怪獣に継承することは可能)。
「ガード」と「反撃」はどちらか1つしか持たせることができない。また、固有スキルや必殺技の追加効果で「ガード」「反撃」が行える怪獣は、継承スキルの「ガード」「反撃」を持たせられない。
「反撃」は、こちらの通常攻撃の射程範囲にいる相手にしか発動しない。例えば遠距離型の怪獣は、近距離型の怪獣から攻撃を受けても反撃できない。

・「反撃」のダメージは攻撃力に依存する。ちなみに「反撃」による攻撃は必ず相手に命中する。
・「SPアップ」は、発動時即座にSPゲージが溜まる効果。「SP獲得率アップ」は、SPゲージが溜まる時にその獲得量が増える効果。
・スキルの効果継続時間などを示す「フェイズ」と「ターン」は違うものなので注意。バトルは味方フェイズ→敵フェイズの順に行われ、双方のフェイズが終わると1ターンが経過する。

・効果継続時間が記されていないスキルは、そのバトル中永続的に効果を発揮する(所持している怪獣が倒された以降も発揮される)。例えば「攻撃力 小ダウン(全)」の継承スキルを持っているサタンビートルが倒されても、相手全員に対する攻撃力小ダウンの効果はバトルが終了するまで続く。
・スキルによる能力アップは、バトル中にしか反映されない。ラボなどのステータス画面で見ても数値には反映されていないので注意。ステータス画面で確認できる戦闘力は目安程度にしかならないことを覚えておこう。

・「攻撃(必殺技)を受けた時 」が発動条件になっている固有スキルは(例:ゴモラ、ギャラクトロン等)、攻撃(必殺技)を回避した時、他の怪獣のスキルの効果で身代わりしてもらった時にも発動する。 また、「1回攻撃を受けるまでの間」のように回数が明言されている場合は(例:マガオロチ、バルタン星人(パワード)等)、自身が実際にダメージ を受けるまで有効なため、身代わりしてもらった後も効果が続く。バンダイ語の「受ける」の解釈はウルトラ難しいぜ!

 

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【状態異常について】

・わりと細かい仕様がいろいろあるのでゲーム内の説明(ナヴィのワンポイントナビ)を一読しておくのが吉。
・毒、火傷、凍結はいずれも最大HPの1割のダメージを受ける効果。これらは重複しない。また、これらのダメージでユニットのHPが0になることはない。
・毒は3ターン継続し、自フェイズ開始時にダメージを受ける。火傷、凍結は2ターン継続し、行動完了時にダメージを受ける。
・暗闇は最終的な命中、回避を30%ダウンさせる効果。
・鈍化や「移動力ダウン」効果を受けても、移動力は1未満にはならない。例外はブラックギラスの固有スキル、レッドギラスの必殺技の効果など。
・封印はいろいろな種類があるが、重複しない。例えば、自らの固有スキルで必殺技封印状態になっているババルウ星人は、相手のガード封印や復活封印などを受けない。
・気絶、石化、混乱、従属状態ではスキルの発動、必殺技の発動が行えない。

【DNAの集めかた】

・DNAの集め方は、基本的に「ショップで買う」「DNAクエストで集める」のが主な方法となるが、怪獣のレア度によってコストパフォーマンスのいいDNAの集め方は異なる。

・DNAクエストでは、倒した怪獣1体からランダムで1~10個のDNAがドロップする(個数が多いほど確率は低くなる)。4体の怪獣が出現する「難易度エキスパート」1回での期待値はだいたい12、13個くらい(個人的な集計の結果なので差はあるかも)。
・DNAクエストは1日4回プレイできる。プレイ回数の回復は1回につき20石、1日8回まで行える。つまり、1日160石で12回までプレイできる。
・時々、DNAクエストのドロップDNAが2倍または3倍になるキャンペーンが行われる。DNAクエストに石を使うならこの期間一択。石20で24個のDNAが手に入ると考えると、2倍キャンペーン中はDNA1個辺りの単価=0.83石となる。固有DNAを集めるなら、このDNA2倍・3倍キャンペーン中に周回するのがいちばんコスパ的に良い。キャンペーン中は1日のDNAクエスト挑戦回数が最大24回まで増える場合もある。DNA2倍期間中に24回周回するとだいたい600前後、3倍期間中なら900前後のDNAが手に入るので目安にしよう。

・マーケットに出品されない怪獣もいる。DNAクエストはマーケットで競り落とした怪獣にしか挑戦できないので、この場合はショップで買う等の方法で集めるしかない。

・ショップで相性別DNAが売りに出されることがある。単価的には★3限定マーケット怪獣のDNAを買うのと大差ない。
・以下、怪獣の初期レア度別「コスパのいいDNAの集めかた」。

★1の怪獣
・ショップで並ぶDNAは石50でDNA100個と断然安い。マーケットでの最低落札価格も石60と安いが、★1怪獣はDNA抽出しても50個にしかならない。
・DNA1個辺りの単価はショップ=0.5石、マーケット=0.83石。
★2の怪獣
・ショップで並ぶDNAは石130で100個。マーケットの最低落札価格は石300で、抽出でDNA200個になる。
・DNA1個辺りの単価はショップ=1.3石、マーケット=1.5石。

★2限定マーケットの怪獣
・ショップで並ぶDNAは石75で50個。マーケットの最低落札価格は石400で、抽出でDNA200個になる。
・現状ではミクラス、アギラしかいない。
★3の怪獣
・ショップDNAは石140で100個。マーケットの最低落札価格は石800で、抽出でDNA600個になる。
・DNA1個辺りの単価はショップ=1.4石、マーケット=1.3石。
★3限定マーケットの怪獣
・通常の★3よりやや割高&貴重で、特定のキャンペーン中以外では石80で50個単位で販売されている。マーケットの最低落札価格は石900で、抽出でDNA600個。
・DNA1個辺りの単価はショップ=1.6石、マーケット=1.5石。

・マーケットのほうが安く思えるが、限定怪獣は人気が高く、最低落札価格で買えることは稀。

 

 計算合ってるよね? 合ってますか? おれは算数が非常に苦手なので正直自身が無い。ちなみに2020年4月現在、DNA2倍キャンペーンが恒常的に行われるようになっている。これを踏まえ、効率的なDNA集めについてまとめると以下のようになる。

 

★1怪獣 ショップで買うのがオススメ(というかショップでしか買えないものも多い)。DNAクエストや万能・相性別DNAを使うのはちょっともったいないので、コツコツショップを覗いて集めるのがいちばん。

★2怪獣 DNAクエストを回すのがオススメ。クエスト残り回数を石で追加するのもまあアリ。ショップで買うのはコストパフォーマンス的にはオススメしない。

★3怪獣 DNAクエストを回すのがオススメ。クエスト残り回数を石で追加するのもアリ(3倍期間なら絶対追加したほうがお得)。底値で買えるならマーケットで落としてDNA抽出する手も。資金に余裕があるならショップで買ってもいい。

 

 その他、一部のイベントクエスト、DNAクエストのレア怪獣出現クエストではかなり多くのDNAが手に入る。★6怪獣が欲しいのならこれらのイベントに惜しまず注力するべし。

 

【その他いろいろ】

即決ボーナスでレア度、レベルが上がった状態で手に入る怪獣もいる。大人気でなかなか買えない怪獣なら即決したほうがコスパ的にいい場合もある。個人的には底値が3000を超えたら即決を考えてもいいレベルだと思う。

・怪獣の戦闘力はHP+攻撃+防御(近)+防御(遠)+命中÷2+回避÷2+必殺÷2で計算され、運は考慮されない。このため、命中・回避・必殺・運が低めでHPと防御が高い、防御型タンクの戦闘力が高くなりがち。正直な話、強さを測る指標としてはガバガバ過ぎて参考にもならないのであまり気にしなくていい。

・所持金は9999万9999ゴールドまで表示されないが、実際はそれ以上所持できる。

・「スパイン」は「背骨」のこと。

・攻撃が回避された場合、同フェイズ中に同じ相手に攻撃すると、回避された回数に応じて命中率にプラス補正がかかる。2回連続で10%、3回で15%、4回で25%、5回で40%プラスされる(ウルトラ必殺技除く)。

・基本的に、マーケットは平日の正午〆の回のほうが安く落札しやすい。と思う。

・怪獣に「使いどころの多さ」「育てやすさ」の差はあるが、どの怪獣にも他にはない個性がある。好きな怪獣を育てよう。

ultra-batbre.bn-ent.net

【特集】『所さんのまもるもせめるも』は真のタフな男になるための教科書だ【攻略】

 文学フリマに出品したレトロゲーム特集の同人誌『二級河川18 地獄・極楽懐ゲー攻め!』掲載原稿。原文はいわゆる「逆噴射文体」だったが、ここでは熱量抑え気味に普通の文体でお送りします。あと豊島と練馬を混同しているところがあったので直した。(二級河川18号は現在品切れ中)

 

 

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 「二級河川18」巻頭では有名人が出演したり作成に関わったりしている「タレントゲーム」について取り上げているが、おれは今回『所さんのまもるもせめるも』という男の中の男のゲームについて書くことにした。

 タレントゲームにはいい加減なものも少なくはないが、画像検索で出てきたスクショだのゲームカタログWikiだのを見てクソゲー草で終わらせてはもったいない。未プレイのゲームをクソ扱いするのは冥獄界級の大罪だ。プレイの上で自分がクソゲーと断じた物だけがクソゲーで、他人がいくらクソゲーと言おうとそれはクソゲーではない。クソゲーの荒野に存在するROADは、お前が歩んだ後ろに出来る血の獣道だけだ。わかったか。

 何が言いたいかというと、1987年にファミコンで発売された横スクロールアクションゲーム『所さんのまもるもせめるも』は一般的に言われているようなクソゲーではなく、個性的な世界観とグラフィック、適度な縛りが緊張感をもたらす基本システム、コツを覚えてしまえばラクに進める爽快さを兼ね備えたタフなゲームだということだ。むろん遊んだ上でクソゲーだと感じた人もそれなりにいるとは思うが、「ゲームカタログWiki」も事実と違う箇所や思い込みが大量にあるし、おれが同程度の思い込みとエゴで本作を賛美してもバチは当たらないだろう。


【物語とBGMと真の男について】

 ストーリーについて解説しよう。ある日、東京の千代田区でビジネスに励んでいた所さんのもとへ、まだ幼い愛娘「さやか」からテレパシーでSOSが届く。「助けて! ママがロボットみたいになっちゃったの!」と。ただごとではない。緊急事態であることを察した所さんは、その辺にあった水鉄砲をつかんで飛び出す。舞台となるのは東京23区がモチーフとなったステージだ。
 そんな所さんに襲い掛かるのは、かつてはスタッフや仕事仲間だったレプリカント…映画『ブレードランナー』で出てきた複製人間の群れだ。ブーチャン小林もいる。なぎら健壱もいる。よくわからないが一つ目のイモムシとか、ピョンピョン飛び跳ねる裸足の足だけとかもいる。自分以外がすべて敵という状況で、所さんは所沢にある邸宅を目指す(世田谷ではない)。時には汚水にまみれながら下水道を進み、時には高速道路でカーチェイスを繰り広げ、片手には頼りない武器を、胸には家族への愛のみを抱いて立ち向かうその姿。これがHERO、真の男で無くてなんだというのか。

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↑説明書より

 先のゲームカタログWikiには、本作の欠点として「BGMが電波。所さんが作曲したわりには出来もよろしくない」などと書かれている。メインとなる東京23区編のBGMは確かに独創的なメロディだが、「狂った母親に監禁された娘を救出するため、親しい友人らのまがいものの姿をした群れなす敵へと飛び込んでいく」という、混乱した状況に放り込まれた所さんの焦燥感・孤独感を100パーセント表現している素晴らしいBGMである(電波かと言われれば電波ではある)。

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 そもそもの話、このゲームの作曲は所さんではない。もちろん所さんはミュージシャンではあるし、ゲームオーバーになるとどう聴いても「ラヴ・イズ・オーヴァー」な曲が流れて「かなしいけれど おわりにしよう きりがないから」というメッセージが流れたりするのは確かに所さん的なおふざけに思えるが、本作における所さんの肩書は「トータルプロデュース・キャラクターデザイン」。サウンドも手掛けていたのなら、ソフトのウリとしてしっかりクレジットに表記されているはずである。実際のミュージックコンポーザーは、『くにおくん』シリーズなども手掛けた澤和雄氏という説もあるが、本作にはスタッフロールは無いし、説明書や攻略本等でも澤氏の名前は確認できない。ただ、少なくとも「作曲は所さん」とは書かれていない。


【『まもるもせめるも』はクソゲーではない】

 おれは『所さんのまもるもせめるも』をクソゲーではないと言ったが、それはもちろん先に挙げたものも含む幾つかの理由と直感によるものだ。
 キャラクターたち(こちらは正真正銘、所さんによるもの)は一見かわいらしく牧歌的でありながら、クールでアシッドな雰囲気を存分に漂わせている。アクションもユーモラスで、意外とシリアスでハードな状況のストーリーとのバランス感覚は特筆すべきだ。敵は行動パターンもなかなか個性的。後で述べる通り、基本的に避けゲーであるこのゲームにとっては、敵のグラフィックと動きが個性的で「パッと見で何をしてくるか判断できる」のは意外と重要な点だ。
 ステージも、おそらくは『スーパーマリオブラザーズ』を参考にしたのだろうが、23区編の地上(ビル街)、地下(下水道)、空(高速道路)、水上(港)という構成は東京っぽさを十分出せていると思う。郊外編に突入した時の「郊外すぎるだろ」感もギャグとして成立していて良い。

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 難易度に関しては「攻略本の事前情報があれば楽勝、なければかなり難しい」というアンバランスな面があることは確かだが、当時のファミコンゲームとしては普通の話である。とは言え、ガチガチの攻略情報は本作のクリアーまでには必要ない。おれが今から伝授するアドバイスを知っておけば、おまえも所さんと同様の世界まる見えワンマンアーミー、敵どもには死を、愛する者には慈悲をもたらす聖戦士となれるだろう。

 

 

【アドバイス1:弾は無駄撃ちしない】

 所さんの武器は水鉄砲だ。無限に撃てるが、残りの水ゲージの量が減ると飛距離が落ちていき、ゲージがゼロになると足元にポトポト落ちるだけになる。水鉄砲は唯一の攻撃手段なので、こうなるとすごくやばい。一見情けない武器だが、環境に文句を言うやつに晴れ舞台は一生来ない。水鉄砲が有限である以上、基本的に敵は避けて進むことになる。無駄な争いは避けるに限る。所さんはメキシコのカルテルマフィアでも殺人マリアッチでもない。
 ジャンプで避けられる敵は避けるべきだが、逆に優先して倒すべきなのはアロハ(ピョンピョン跳ねる裸足)くらいなもので、こいつはジャンプでは避けにくい上にマンホールの蓋を落としてしまう。蓋の空いたマンホールからはキムチ(足がキャタピラの敵)が3匹まで沸いてくるのでめんどうくさい。ちなみにキムチが出てこないマンホールは地下エリアへの入り口なので、落ちてもミスにならない。

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【アドバイス2:アイテムは大事だ】

 水鉄砲のゲージを回復する「ツボ」はもちろん、ステージによっては残り時間を伸ばす「時計」もとても大事だ。アイテムのほとんどは特定の位置を水鉄砲で撃つと現れるが、位置はノーヒントだし、かといって水鉄砲を乱射しているとすぐにゲージがなくなる。そもそもアイテムの種類や効果、入手法については説明書にもほとんど書かれていない。
 このアイテム関連の不親切さは確かにこのゲームの困ったところだが、アイテムの出現する位置や種類は常に固定なので、場所さえわかってしまえば問題はない。
 アイテムの中では、ハートと水鉄砲ゲージを全回復する「星」に加え、コンティニュー回数を無限にする「ESマーク」の重要度が高い。ESマークは豊島の地下エリア、品川の地下エリアでしか見つからない。豊島の地下へはステージ2つ目の建物の扉、品川の地下はステージ最初のマンホールから落ちれば行ける。ESマークさえとってしまえば、あとはもう死を恐れることは無い。不滅のバタリオンと化した所さんの姿は、水鉄砲を片手に紛い物の生命を洗い流す聖戦士だ…。

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 ↑品川のESマークはここ。

 

【アドバイス3:ボスは接近連射か安全地帯で倒す】

 23区編のほとんどのボスは「ピント」という、潜水服のようなものを着込んだ巨人だ。頭部から放つフラッシュ攻撃は絶対に避けられず、くらうと所さんの体力のハートが0.5個ぶん減る。ハートは最大で5個、つまり10分の1がフラッシュ攻撃で減ってしまう。ダッシュで接近して弱点の頭部に連射すればフラッシュ前に倒すことも可能だ。

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 ピント以外の23区のボスはピーマン岩崎(杉並ボス)、チェロッキー石渡(豊島ボス)、トドキタ(練馬ボス)というふざけた連中だが、動きが早くてわりとやっかいだ。いずれもボス部屋にあるはしごを登って、足場から適当に連射していれば倒すことができる。トドキタ以外は水鉄砲のゲージをゼロにして、下方向に弾を垂れ流すように撃てば楽だ。
 中野のボスはトンカチを乱射してくるトウリョウ。マリオに出てくるカメの3倍くらいのトンカチ量なのですごい。しかしこいつはまったく動かないし、はしごを登って足場を飛び越えれば倒さなくても先に進める。一体なんなんだという気になる。トウリョウの赤く血走った目には、所さんの姿はいっさい映っていないのだろう。レプリカントとして生み出され、トンカチを投げ続けるだけの存在…。そこにあるのはドラマだ。

 

【アドバイス4:23区編の進みかた】

 23区編のボスを倒すといくつかの扉がある。この扉に入ると別の区に行けるのだが、行き先は扉ごとに2つ設定されており、50パーセント半々の確率でどちらに進むかはわからない。一度クリアした区に戻ってしまうこともある。これをクソゲーワロタ草などと言うのは当然腰ぬけであり、前も書いた通りアイテムの位置は常に固定なので、それさえ覚えておけば一度クリアした区を何度プレイしようが問題はない。
 23区で最終的に目指すのは北西にある練馬だが、23区の南東の端にある品川には練馬へ一気に飛べるワープゾーンがある。地下エリアから地上に戻ってきたあと、すぐ右に建っている大きな家の2階の屋根から画面上に向けてハイジャンプ(B+Aボタン)すればいい。品川についたら地下でESマークを取り、練馬にワープできれば無駄がなくクールだ。むろん、クールを最優先の課題とするかどうかは人次第だ。

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 理想的な最短ルートは下のようになる。うまくいけば4つの区をクリアするだけで郊外編へ行ける。

・千代田 ボスを倒したら上の段の扉へ(港か新宿へワープ。港なら最短)
・港 ボスを倒したら下の段の左、あるいは上の段の右の扉へ。(新宿か品川へワープ。品川なら最短)
・品川 最初のマンホールから地下へ。地下でESマークを取って地上へ。地上へ出た先のすぐ右にある大きな屋敷の屋根からジャンプし、練馬へワープ。
・練馬 ボスを倒し、郊外編へ。

 新宿に出てしまったら、ボスを倒したあと上の段のいちばん右の扉に入れば千代田か豊島にワープする。千代田に出たら再度上の手順で進んで品川を目指す。豊島に出たらここの地下でESマークさえ取れば、あとは死に放題だから好きなだけ死んで先に進めばいい。

 

【アドバイス5:郊外編は地獄だ】

 練馬のボス(人のよさそうなおじさん)を倒すと郊外編になり、保谷、田無、東久留米、東村山、所沢を順番に進んでいく。
 地上は敵が多いので、雲の上を歩いていくのがいちばん楽だが、郊外編ではオトシブタという豚の敵が頭上から降ってくる。水鉄砲で撃てば倒せるが、当たると一撃死してしまうし、地面に落ちると穴を開けていく。穴に落ちるとこれも一撃死だ。郊外編で死ぬと保谷まで戻されてしまうので、ESマークがあっても慎重に進んだ方がいい。

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 郊外編のボスはツノを飛ばしてくるアカオニと、ダイナマイトを投げてくるC長さんだ。どちらも放物線を描く飛び道具を投げてくるので、接近連射で倒すのが早い。C長さんにはなにか元ネタがあると思うが、おれにはわからなかった。ちなみにボスがいた家の屋根の上でハイジャンプすると次のステージへ進める。なぜそんな仕様なのかはわからん。
 郊外編のステージは非常に短く、ウシが糞を飛ばしたり、恐竜が自転車をこいでいたりと、とにかくのんきな田舎として描かれている。分かれ道は無いし、地下エリアも高速道路もない。複雑な23区に対してのアンチテーゼと言える。23区で生活し、インスタグラムにキャッサバの澱粉の写真を載せているような連中でも、ひとたび郊外に行けば豚に頭をぶつけて死ぬ…これを優れた文明批評として受け止めることもできるだろうが、そこまで行くと完全におふざけなのでおれはそういうことは言わない。

 

【アドバイス6・旧日本軍に触れるな】

 郊外編ラストの所沢はやや長いが、塀の上を進んでいけば問題ない。最終エリアの所御殿は長いステージなので時計は取り逃すな。1階の3つ目の部屋、2階の2つ目の部屋に入ってすぐの窓に隠されている。
 所御殿の1階には、旧日本軍が立っている。まったく動かないが、攻撃するとこちらがダメージを受ける。いわば障害物に近い。それがなぜ旧日本軍なのか。なぜこちらがダメージを受けるのか。考察したいひとは考察するといい。跳ねるバズーカを撃つ敵(タブー)は倒せないのでジャンプで避ける。

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 2階の最初の部屋にはモドキという、所さんと同じ姿で左右対称の動きをする敵が出てくる。撃てば普通に倒せる。その後は落ちてくるシャンデリア、急に開く落とし穴といったワナが多いので慎重に進む(時計を1つも取っていないとタイムアウトになる可能性が高い)。チェロッキー石渡、ピーマン岩崎といった23区ボスも出てくる。安全地帯はないので接近連射がいちばんだ。さっきからボスの攻略は「接近して連射しろ」しか言っていない気がするが、妙な手心を加えればこちらが死ぬので仕方ない。
 ラスボスのドンナマは所さんの奥さん、つまりさやかちゃんの母親だ。接近して連射すれば倒せる。

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【男の戦いは続く】

 『所さんのまもるもせめるも』について、おれの知っていることはほぼ書けたとおもう。ちなみに、おれが生まれて初めて全面クリアしたのはこのゲームだ。前も書いた通り、クソゲーをクソゲーと呼ぶのは個人の裁量でかまわないと思うが、バターコーヒーもホットなベイブも知らない小学生ですらクリアできるゲームを「理不尽で難易度が高いクソゲー草」と評するのは真の男だろうか? あえて書かないが、本作のエンディングは非常に衝撃的なものだ。誰が黒幕なのか? 何が真実なのか? 何もわからない。今では押しも押されぬ大御所であり、世田谷ベースという男の城を手に入れた所さんだが、本作の続編が出ていない以上、彼の戦いはまだ続いていると言えるのだ。

 本作の設定・ストーリーに、名作と呼ばれるSF映画・アクション映画(と、その原作)に通じるものを見て取れるのはすでに述べた通りだ。それはレプリカントが跋扈する『ブレードランナー』だろうか。家庭を持つ男の反逆譚『トータル・リコール』だろうか。はたまた強大すぎる相手に蟷螂の斧を振りかざす『未来世紀ブラジル』だろうか。それは体制に取り込まれ、苦い敗北を味わう男の物語であろうか。

 お前がイメージする所さんは、日本地図にダーツを投げたり、CMに出て「このあとあと!」とか言うたけしにズッコけたり、カケフくんと変なスプレーをかけあったりする所さんだけかもしれない。成城で悠々自適に過ごす成功した芸能人かもしれない。今現在、21世紀の所さんは戦いを終えたのかもしれない。それでも、おれの心には、東京という得体のしれないシステムを相手に独り戦いを挑んだ男の雄姿が焼き付いているのだ。

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【宣伝】外見の腹立たしい人が教える! 第28回文学フリマ東京(5/6)新刊の見どころ

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 こんにちは、外見の腹立たしい人です。

 

 

 

 

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髪ニョーン

 

 

 

 

 

 来たる2019年5月6日(日)に東京流通センターで開催される、「第28回文学フリマ東京」出品用の新刊がかんせいしたので宣伝させていただきます。
 初出は4月20日に行われた「文学フリマ金沢」ですが、いろいろとささやかな規模だったので実質初出しと言ってもいいくらいです。

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  はい、今回の新刊はこちら! 「二級河川」21号!

 我々は年2回ペースで「二級河川」というサークル誌を出しております。文学フリマでは「評論/サブカルチャー」枠で出ていますが、要は各人が好き勝手なことを書いている「雑誌」のつもりでいます。

 巻頭テーマは「ゆるフェチ」。要は「なんとなくのゆるいフェチズム」。表紙は『きらら』4コマみたいな感じで、みたいな発注をしたような記憶がありますがよく覚えていません。

 

 

 

 

 

 

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 それでは、収録原稿を順に紹介していきますね^^

 

 

 


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  巻頭は「私はこういうのがグッと来ますよ」という性癖を漫画の1コマだけを見せてプレゼンする企画「一コマでうならせろ!」。実際にやってみると全然1コマじゃ説明しきれなかった感がありますが、「あるある~」と「無いわ~」の左右ブレの激しい金冷法みたいな脳を揺さぶる内容になっております。

 

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  ちなみにジャッカル佐崎さんも参加して「『鬼太郎のおばけ旅行』でベルサイユの化け猫が鬼太郎の胃の中にすっぽり収まっている状態がシコれる」と熱弁を振るったのですが、「純粋に意味がわからない」と言われ共感性マイナスという結果になりました。

 


 

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 続いては「隠れオタクの『後ろめたさ』」(黒江ヨチ)。「年の差を超えてオタ友を作るマンガ3選」との副題で、『トクサツガガガ』を始めとする「年の差オタ漫画」が紹介されています。巻頭の「1コマでうならせろ!」企画の延長とも言える「ぐっと来るシチュ」盛り合わせレビューです。


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  次は『目つき悪い子大全』(ジャッカル佐崎)。『さよなら絶望先生』の三珠真夜と『パワーパフガールズ』のバターカップで“萌え”の概念を知ったとのたまうジャッカル佐崎さんが、漫画・アニメ・ゲームに出てくる目つき悪い女子のことを延々と書きました。書いてて異様に楽しかったし、今回は20キャラについて書きましたが50人分くらいは普通にイケそうだったのでどこかで続きをやります。

 


 

 

 

 

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 テーマに沿った「ゆるフェチ」パートはここまでだよ!

 

 

 

 


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 「無何有之郷の人」(堀川秋海)。前回、二級河川20号から続く連載。人名事典にもWikipediaにも項目が無く、資料も無きに等しい19世紀の著述家、渡辺修二郎の活動を追う。

 こういうググってもまず情報が無い人物・事象についての情報がモロっと載っていたりするのは同人誌の醍醐味であります。

 


 

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 「津雲国利を追って」(岸本元)。『宗教と国会議員』という同人誌も作っている岸本君による、仏像蒐集家としても有名な政治家・津雲国利のルポ。曰く「政界のみうらじゅんあるいは政界の中島誠之助」。東京・青梅にある津雲邸へ赴いての実地取材も。

 


 

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  「出版社の『自社紹介』横断索引-ミニ社史を見つける」(トム・リバーフィールド)。出版社の自社紹介(ミニ社史)を掲載元別に分類しリスト化。65年間分、751社を掲載。

 トム氏は毎回資料性の高いリスト・索引記事を寄稿しており、校正大変だろうな感がありますが、「二級河川」はそもそもリストの多い雑誌でありまして、過去にはメンバー合作の「グルメ漫画リスト」「タレント・芸能人が出ているゲームリスト」なども作ったりしています。

 

 

 

 

 

 

 

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 今回はこんな感じだよ!

 

 

 

 

 

 

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  「二級河川」は雑誌というテイで編集していて、だいたいいつもテーマに沿った記事とぜんぜん沿ってない記事が半分くらい載っているんだけど、今回は特にはっきり分かれている感じがしますね。中間が無いというか。

 

 

 

 

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 まあでも、どの号もだいたいこんな感じの本です。雑誌の良さって、自分の興味が無かったモノも目に入ること自体にあったりするやん…? 

 

 

 

 

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 基本的にどの記事も「自分で調べて書く」という基本中の基本をアレしており、先ほども言いましたがその辺でググってもあまり出てこない情報がポロっと載っているのが我ながら良いなあと思います。

 

 

 

 

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 というわけで連休最終日、文学フリマ東京でお会いしましょう! 

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