ジャッカルの日

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殺人鬼大集合!悪魔のいけにえのはらわたのえじきのしたたり―『Dead by Daylight』

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 PS4版『Dead by Daylight』デッドバイデイライト(以下『DbD』)が面白いのでそればっかりやっている。もう夢中。時間強盗。
 
 『DbD』はホラー映画をモチーフにした非対称型対戦ゲーム。殺人鬼さんチーム(1体)と生存者さんチーム(4人)に分かれ、暗い森だの廃工場だの精神病院だのといった「いかにも」な舞台で追いかけっこをする。似たようなゲームに、モンスターとハンターに分かれて戦う『Evolve』がありましたね。『Evolve』のモンスターはハンターにあっさり狩られちゃったりしますが、『DbD』の殺人鬼は圧倒的に強く、生存者は逃げ回ることしかできない。
 殺人者側の目的はもちろん生存者全員をブチ殺すことで、もう少し詳しく書くと、ナタだのナイフだのでやっつけた生存者を肉フック(『悪魔のいけにえ』で出てきたアレ)に吊るし、邪神だかなんだかへの生け贄にすること。いっぽう、生存者側の目的は、あちこちにある発電機を一定数(参加生存者数+1台)修理し、脱出ゲートを作動させること。殺人鬼と生存者、両者はスペックも目的もぜんぜん異なるため、さまざまな駆け引きが生まれる。

 
 『DbD』をどんな人にオススメしたいかというと、まず「スリル溢れる協力型マルチプレイ」を楽しみたい人。非力な生存者も熟練のサバイバーになれば、自らおとりになったり、肉フックや罠を破壊工作したり、殺人鬼を翻弄してやることができる。で、「圧倒的な強者になり、オンライン対戦で無双」したい人にも。殺人鬼側も慣れればそれこそホラー映画のように哀れな生存者をもてあそび、調子こいたアホどもをブッ殺して回ることができる。まあ実際はそんなにうまくいかないというか圧倒的に生存者有利なバランスなんですが、ホラー映画でも最終的には生存者が勝つことが多いし、そこは、ね。
 もちろん純粋に「ホラー映画が好きな人」にもオススメしたい。先ほども言った通り、シチュエーションはスラッシャームービーそのもの。殺人鬼も「チェーンソーを振りまわすマスク男」「マッドドクター」「デブのピエロ」「狂った看護婦」などそれっぽいのがたくさん。また有名ホラー映画とコラボしており、『悪魔のいけにえ』からレザーフェイス、『エルム街の悪夢』からフレディ、『ハロウィン』からブギーマン(マイケル・マイヤーズ)、『SAW』からジグソウ(の後継者)が作中の生存者たちとともに登場。それぞれの特技を生かした活躍をしてくれる。レザーフェイスはチェーンソーを振り回して一撃ダウンを狙えるし、フレディは「夢の世界にいるから不可視」という卑怯臭い能力を持つ(相手を眠らせないと攻撃できないという弱点もある)。ちなみに『13日の金曜日』のジェイソンは未登場ですが、すでにジェイソンになって追いかけっこする『フライデー・ザ・サーティーンス ザ・ゲーム』が発売されてるのが原因かもしれないです。
 2016年に配信されたゲームということもあり、すでにあちこちで紹介されているので詳細については各種ゲームサイトなどご参照ください(説明めんどいので)。

www.gamespark.jp



 『DbD』はチュエーションだけではなく、ゲームシステム自体も実によくホラー映画とマッチしている。
 基本的に生存者は殺人鬼と対峙しても勝ち目はないのでステルス行動が基本となるが、発電機の修理には時間がかかり、かつ修理中は大きな音も出てしまうので殺人鬼に気づかれやすくなる。また、肉フックを破壊したり、宝箱からアイテムを探したりする際にも大きな音が出る。積極的に行動すればするほど見つかりやすくなるが、かといって隠れ続けていても状況は好転しないというジレンマをどう解消するかが生存者側のポイントなわけです。なんで生存者はじっと隠れていないのか、わざわざ危険なところへ向かうのか、みたいなホラー映画によくあるツッコミを解消しております。ふつうの対戦ゲームだと、“戦う理由”として「イデオロギーの衝突による戦争」だの「単なるスポーツ」だのが設定されてたりしますが、「純粋に殺したいから殺す」「殺されたくないから逃げる」という本作は大変いさぎよい。100点!


 生存者の誰かが肉フックに吊られた場合、残りの生存者たちは助けに行くか、無視して発電機の修理を優先するか判断しなければならない。殺人鬼は肉フックの前で陣取っていれば助けに来た生存者を返り討ちにできる可能性もあるが、その間にどんどん修理を進められてしまうかもしれない。で、ここからさらに「生存者はわざと大きな音を立てて注意を惹く」だの「殺人鬼は罠を仕掛けていったん肉フックから離れるフリをする」だのいろいろな展開に繋がっていくわけです。相手の裏をかく心理戦の様相を呈すこともあれば、純粋なアクションの腕前(相手から逃げ切る/追い詰める)が問われる場面もある。
 生存者側はもちろんお互いに協力したほうがメリットが大きいが、発電機の修理がもうすぐ完了しそうなときはあえて放っておく手もある。仲間3人が犠牲になっても、自分1人が脱出できればポイントは大量にゲットできる。脱出ゲートが空いてあとへ逃げるだけ、という段階で肉フックに吊られてしまったときの絶望感! そこへ仲間が助けに来てくれた時の安心感! そしてその仲間もやられてしまった時のダブル絶望感! 他の仲間がさっさと脱出してしまった時のトリプル絶望感! この辺り、ホラー映画という題材とゲームシステムがぴたりとハマっていて良いです。120点。

 

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 とまあこういう殺伐ゲームです。おれはたいてい殺人鬼側でプレイしてますが、肉フック直前でに逃げられたりするたび「ウォッ」「しなす」「愚民」などと叫んでしまうくらいエキサイトするので、本田翼くんがコレをプレイするのを心配するファンの気持ちは重々理解できる。
 「敵」「悪役」になって思う存分暴れまわりたいという欲求は、誰しも、とは言わないがわりかし多くの人が持っているのでは? これまでも『Evolve』だの本作とコラボもしてる『Left 4 Dead』だの、モンスターやゾンビを操作して人間をキュッとやったりするゲームはあったけど、アクション下手が敵側でプレイしてもボコボコにされるだけでいまいち爽快感がなかったんですよね。でも、『DbD』の殺人鬼は強い! そしてわりとカワいい! PS4版ならチャットで煽られることもないし心も折れにくい(「ウォッ」「しなす」「愚民」とかは叫ぶようになる)。
 『DbD』、大幅なアップデートVer2.0が配信され(PS4版は近日中の予定)、キャラがあらかじめパーク(パッシブスキルみたいなもん)を所持していたり、チュートリアルが追加されたりと初心者でも入りやすくなるような調整がいろいろ施されております。みんなも人狩りいこうぜ。

www65.atwiki.jp